斉王・王建王と秦の外交官・蔡沢の会談
もうすぐ第4シーズンが始まるキングダム。
放送直前という事で、第3シーズンの振り返りをしてみたいと思います。
前シーズンは何と言っても、六国同盟によって
合従軍(がっしょうぐん)が結成されてしまい、
秦(しん)国が滅亡の危機になるというお話だったのですが、
実はこの六国同盟から東の斉(せい)という国だけが離脱し、
秦は大いに助かる訳です。
一癖ある斉の王様が秦の外交官・蔡沢(さいたく)老師と
急遽会談する事によって、合従軍に参加する為に動いていた兵の遠征を取り止め、
国王の急病を理由にして自国に帰って来てしまう訳なんですが、その理由が
「戦争とは大金を得るための仕事」
と言い放ってしまう斉王の考え方。
そしてそれに旧知の間柄である秦の蔡沢はすぐに同意するのですが、
斉の文官たちのように、そんな事して他の国の反感買わないのかな?と不安になってしまいます。
でもよくよく考えてみると、そこには海千山千の王様らしい、したたかな計算があったのです。
かつて合従軍に敗北した唯一の国
500年以上も続く戦国の時代。
幾つもの国が吸収され、合併され、或いは淘汰され、分裂し、
戦国七雄と呼ばれる七つの国になったのが「キングダム」世界における中華。
この長い戦乱の時に、たった一つの国を攻撃するために
他の六つの国が同盟を結ぶような合従軍は何度か発足されてきました。
ただ、意外とその試みは成功していません。
そんな中で唯一の成功例と言われる合従軍があるのですが、
その時に攻め込まれた国が外ならぬ斉だったのです。
栄華を極めていた東の強国・斉は、一転、
世界中を敵に回して亡国の危機に陥り、
故郷を失う怖さを嫌という程に味わいました。
「キングダム」は主人公の信が戦災孤児で親を失ったために
奴隷同然の下僕だった事がよく知られていますが、
故郷を失い他の国の支配下におかれた者たちは、
親、兄弟、親類縁者、恋人、嫁、息子に娘、その孫たちまで
全て永遠に奴隷として勝者のために生きる事を強要されてしまう現実が待ち受けています。
だから必死に抵抗する。
何がなんでも支配されないために。
例え領土を奪われても、国が滅ぼされなければ何とかなる。
そのために、敵を追い返さないといけない。
この必死の力がどれだけ強いか。
この抵抗がどれだけ厄介か。
斉王はその地獄を知る生き残りであり、貴重な経験を経た一筋縄ではいかない王様です。
だからこそ蔡沢の話を聞き、自国が潤うための算盤を弾いたのでしょう。
秦が勝った場合と負けた場合、どちらの状況でも損をせず
国を運営させる、やり手経営者のような心情で・・・
軍神・楽穀だけが合従軍を勝利に導いたという事実
合従軍で成功したのは斉を攻めた一回だけ。
では、なぜ六国同盟という圧倒的な戦力で一つの国を攻めるという
合従軍は成功しないのでしょうか?
それはやはり、一つに纏まらないからです。
戦場に集った者たちは国を代表するような優秀で我の強い武将です。
同盟国からの命令や指示に対し聞く耳を持たない場合も
無視する場合も当然のように出て来るでしょうし、
ライバル意識が強過ぎれば足の引っ張り合いもするでしょう。
そのため合従軍は強力だけれど上手く機能しないわけですが、
唯一上手くいったのが軍神・楽穀(がくき)が大将を務めて斉を攻めた時です。
いえ、燕(えん)国の筆頭将軍であった楽穀はこの成功によって
「軍神」と呼ばれるようになり、歴史に名を刻んだのです。
つまりそれほど、合従軍を纏めるのは大変なのです。
斉王は今回の発起人である李牧(りぼく)の事を化け物だと言っています。
つまり李牧ならば楽穀のように合従軍を纏め上げる可能性は大いにあると思っていたのです。
それでも、合従軍を維持する大変さは変わりません。
それは恐らく、戦闘中よりもその後の方が大変だからなのではないでしょうか?
つまり、秦から奪った利益の分配です。
兵力に対し、領土から得る税金収入を割って、利益を出すと
李牧は持ち掛けたようですが、当然そこには戦での手柄が関わってきます。
上も下もない横並びの関係である各国が、誰が誰を評価する?
というような図式で入り乱れてしまうと、
いかに李牧といえどトラブルもなく纏められるとは思えません。
つまり合従軍とは、時間を掛ければかけるだけ
分裂の危険が膨らむ危うい関係なのです。
戦に勝ったとしても同盟を抜けた斉に直ぐに攻め込むほどの余力はない。
まして秦の徹底抗戦があった後では。斉王はそこまで考えていたのだと思います。
呂不韋がまとめるだろう、停戦協定
このように、斉王には秦が負けた場合の落とし処というようなものが分かっていました。
そしてそれを後押しするのが秦国の軍だけでなく民による徹底した抗戦。
異様なまでの闘争心ですね。
つまり落とし処は、大幅に領土を奪っても、
最後の最後、国を亡ぼすところまではいかない。
そうすれば秦は降伏するし、合従軍は大きな利益をもって解散できる。
そのために必要な交渉を行える人物が秦には居ます。
そう、大商人だった呂不韋(りょふい)です。
同時に、外交官・蔡沢の雇い主でもあります。
降伏の証として国王の首を差し出し、
王都・咸陽(かんよう)では抵抗せずに合従軍の軍門に下る。
その代わりに国を存続させ、呂不韋が新たな王となる。
そのくらいのところで妥協して合意しとかなければ、
戦は泥沼のゲリラ戦になり、相手を全滅するしか
勝てなくなる終わりの見えない状態になります。
そして、合従軍はそんな長期戦には耐えられない仕組みになっている。
だからこそ落とし処は重要で、斉は秦が勝っても負けても、
どちらに転んでも報酬が秦から支払われる事になる。
そういう計算を、あのたった一瞬でできるのですから、
斉王は蛇を口にくわえていた見た目以上に頭の回転が鋭く、恐ろしい人物です。
そう、どっちに転んでも斉は利益を得る。
この部分が重要だからこそ、斉王は同盟離脱を即決したのでしょう。
これからの鍵を握る斉王・王建王の存在
合従軍を迎え撃つ段階で、秦の軍総司令・昌平君(しょうへいくん)が
どうにか導き出した勝率は20%でした。
つまり、5回やれば1回だけ勝てる可能性がある戦い。
但しその戦略に対し上司たる呂不韋は「上出来だ。賭けにはなる」と告げます。
つまり、武将ではない呂不韋ですら勝率20%以下が
相場だと合従軍に囲まれた状況では思っていた訳です。
これを逆に合従軍から見た場合。
発起人である李牧と魏(ぎ)の総大将を務める呉鳳鳴(ごほうめい)が
初対面の時に交わした会話によく現れています。
「どこまでやるつもりなのか?」
国を亡ぼすまでか?
それとも秦の国力を大きく衰退させるまでか?
逆の言い方をするなら、合従軍が勝つのは分かりきっている話なのです。
そして恐らく、普通に考えればそれは明らかな事実なのです。
その状況でも秦から斉に報酬は支払われ、
合従軍が裏切った斉に対し攻めて来る事はないと斉王は読んだのですが、
勝率20%、つまり秦が合従軍を追い返した時の事は考えなかったのでしょうか?
恐らく、その状態で李牧が斉へ攻め込む事は考え辛いでしょう。
一応、国王が急病になったという建前はあります。
そうなると斉への侵攻に戦略や大義名分はなく、
ただの八つ当たりになる訳ですからね。
だから攻めて来た場合、指揮官は既に李牧ではなく、
合従軍が暴走し指揮系統を失っている状態です。
そして、秦と戦い多くの死傷者を出して疲弊しダメージを負っている上に、
これだけの軍を結成して負けた直後に斉へ遠征して来るのです。
負ける訳がない。いえ、斉の戦闘力をバカにするな!と、
攻めて来るなら迎え撃つ気持ちだったでしょう。
ともかく、こう考えてみると合従軍のあった時期、
一番国力を温存し、それでいて利益を手にした一番賢い国は、斉だったのです。
西に位置する秦とは東と西に分かれているため、
王様以外が登場し絡むような事は今のところありませんが、
秦の臝政(えいせい)を別にすれば登場した国王の中でも
有数の存在感と圧倒的な未来図を描いているのは間違いなく斉王。
これから益々、重要な鍵を握る人物になっていくと思います。
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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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