王賁が見せる父、王翦への想い
今回のお話ではとうとう、伝説の魏火龍(ぎかりゅう)七師の一人であり、中華で一番の槍の使い手と言われた紫泊(しはく)と王賁(おうほん)の対決に決着がつきました。
お互いに居そうで居ない槍使い同士の息詰まる攻防は、威力と力強さに特化した紫泊の槍と、正確さと速さに秀でる王賁の槍という、両者の生まれ育ってきた背景をも表現するような勝負になるのですけど、一瞬だけ幼い日の王賁が父、王翦(おうせん)と会話するシーンが登場します。
ほとんど会話らしい会話をすることもない父子が交わした非常に珍しい会話だと語られるのですけど、この僅かなやり取りが、王賁を槍使いにしたのです。主流の矛でも利便性の良い剣でもなく、突き貫くことに特化した槍の使い手に。
たったそれだけの事実で、王賁がどれだけ父を思っているかが伝わってきます。そして、だからこそ、自分を視界に入れている様子すらない王翦の態度に反発するしかないのでしょう。
六将に成れず、左遷されていた父、王翦
幼い王賁にとって父、王翦は憧れの存在であり、父のようになりたいとエリート士族が集う場所で修練にはげむ時、実は父が左遷されているという情報は、嫌でも耳に入ってきてしまったのではないでしょうか?
戦場にいる敵味方から圧倒的な恐怖と憧れの目で認知されている“秦の六将”という伝説に2名を送り込む秦国きっての名門武家、王氏。その宗家当主である父、王翦がそういう扱いを受けている事実が、王賁の頑なな部分をより一層固くしたのではないかと思います。
それも評判や事実を掘り下げて調べれば調べるほど、六将の中でも最強と呼び声高い王騎将軍と同年代で同じ王氏の王翦は、能力的に勝るところはあっても劣るところなしという、信じられない評価を受けていました。
だからこそ王賁は、父は不当に低く評価されて酷い扱いを受けている。自分が王氏宗家の復興をし、父の無念を晴らすのだと、幼い心に決めていたのかもしれません。また、そうであれば、王騎将軍の可愛がっていた飛信隊への最初の頃の強烈な嫌がらせにも、腑に落ちるものがあります。
その言葉に王賁の胸中は集約されて
今までずっと早く出世したいという思いは隠さなかった王賁ですけど、今回は命の淵の限界まで追い詰められたからか、ずっと言葉にしなかった思いを口にします。
「大いなる勝利を掴み続けなければ、中華に名を刻む大将軍にはなれない。そしてそれは、夢や憧れではなく、王氏宗家を受け継ぐこの王賁の債務なのだ」
この債務という言い方に強い決意を感じます。彼に期待する周囲の大人に言わされた言葉のようには到底思えません。そして、だからこそ、いつもあんなに張り詰め、自分にも周りにも厳しく身を切るようなことを要求するのです。
天下の大将軍になると、夢を口にし、憧れを持っている信に対する異常なまでのライバル意識にも全て説明がつくような言葉でした。
その王賁が傷だらけになりながら、約束の呉鳳明(ごほうめい)本陣へ向かいます。飛信隊は、信は、そこへ辿り着くことは出来るでしょうか?次回も目が離せませんね。
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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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