政治の世界のお話は、渦巻く思惑によって人を変えてしまう
今回のお話は、元々の主人公である信を脇に回し、もう一人の主人公である嬴政(えいせい)を中心にしたエピソードの中の一つです。
舞台が戦場ではなく、政界と言って良い場所へ移るので、水面下で蠢く人々の思惑が混ざり合い、濁り合うような特殊なドロドロを生みだします。水が汚れるように、互いの感情によって人の心が淀んでいくとでも言うのでしょうか。
地味だけど重厚な回です。
嬴政にとって最大の敵である呂不韋(りょふい)と最後の対決をする国内統一のお話は物語の最初からずっと続いていた因縁の対決であり、同時にとても壮大な物語の半分を占めていると言われています。
だから、派手な場面が少なくても、嬴政や信や呂不韋といった今までの重要人物の登場シーンが少なくても描かない訳にはいかないのです。
純粋なままでいたら太后(たいこう)のように乱れるか、壊れるか。それが嫌なら自身を黒く染めるしかない茨の道。
昔も今も、利権や思惑が集中する政治の世界というのは、大変恐ろしい世界です。
三國志における曹操のような立ち位置だった嬴政
キングダムのような、中国の史実を元にした作品は昔から日本でもあります。一番有名なのは、やはり「三國志」です。
これは、不思議なほど、老若男女に人気があります。ゲームの影響が大きいのでしょうか?
そんな中で、中国では人気があるとされてきた曹操(そうそう)というキャラクターは、日本では悪役として描かれる事が多くありました。それだけ、劉備玄徳(りゅうびげんとく)というキャラクターが人気だから、敵対する曹操は自然とそうなってしまったのです。
ところが、「蒼天航路(そうてんこうろ)」という漫画では、一転して主人公を曹操にして人気が出ました。
なぜ、こんな話をしたのかと言うと、キングダムの作者である原泰久先生が、その事実に感銘を受けているからです。
今更言うまでもないのですが、キングダムは秦の国王である嬴政(えいせい)が中華を統一し、秦の始皇帝と呼ばれるまでになる物語です。
そして、秦の始皇帝は統一の為に非情で非道だと言われる行為も行ったので、悪役のイメージが曹操以上に強い人物です。
この悪役を主人公にして、どれだけみんなが面白いと思える物語を描けるか。
それが、キングダムという物語の元々のスタートです。
悲劇のヒロイン。それは強くなければ成立しない
若く弱い若弱(はくじゃく)の王として登場した嬴政がいよいよ加冠の儀によって真の国王となる直前、今までは国王を補佐する立場を利用して君臨していた呂不韋が、それを許さず逆に王族でない自分が国王になる為のシナリオを描いているというのが、キングダム世界における政争のお話です。
今までは水面下でこの嬴政と呂不韋の戦いは繰り広げられてきましたが、今回は最終決戦という事もあって戦いが誰の目にも留まる場所へ浮上してしまいます。
その鍵を握るのが呂不韋にとってはかつての恋人であり、嬴政にとっては実の母親である太后(たいこう)なのだから、因縁の間柄と言っても良い関係性です。
ただ、全てを仕組み、その全てを楽しむような大人の余裕を常に漂わせる傑物・呂不韋。今や英雄王とまで呼ばれるようになった嬴政と違い、太后は政治には素人の女性です。
だから、毒国(あいこく)は暴走してしまう。それは心休まる場所を求めてそこへ辿り着いた太后を刺す、人々の欲望であり、思惑です。
人生も愛も奪われて、壊されて。一国の太后という地位すら、ただ心を乱すだけ。
求めた心休まる場所さえ、政治に利用されて、ただの母親にも、一人の女性にも戻れない。
国内統一編のもう一人の主人公は、実は太后様なのです。
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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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