呂不韋に漂う不思議な余裕
台風の影響で緊急報道番組が放送された関係で、今回は第24話、25話を一挙に放送するという形になりました。
第4期のアニメも終了寸前で、昌平君(しょうへいくん)が相手の大将首を獲るという戦場が描かれた直後です。
今回はその決着というか、勝ち負けが決まった後の事後処理のようなものが描かれる回になったのですけど、それは戦国時代というものが人々に与えた傷跡を認識するような、重たい回になりました。
そんな中にあって、戦争を愚かだと言い放ち、同時に人間の性だから無くならないと語っていた呂不韋(りょふい)は、今話では何も語らず、ただ敗戦を受け入れるように淡々としていました。
嬴政(えいせい)が自分の息子だという、冗談に聞こえない冗談を言っている場面もありますが、勝っても負けても飄々とした態度は変わらず、それがいかにも呂不韋らしいなと思いました。
多分この人は野望を熱く燃やしながら、勝てばその道を進み、負ければその道を受け入れる。そういう、本当の大人の余裕のようなものを抱えてずっと生きてきたのでしょう。そこに哀愁はありません。
太后様はあまりに悲しいヒロイン
一方、その呂不韋に裏切られたのを皮切りにして人生を転落したのが嬴政の母で呂不韋のかつての恋人だった太后(たいこう)様です。
かつては趙(ちょう)の王都で「邯鄲(かんたん)の宝石」とまで称えられ、皆から愛されていた若い娘は、裏切りと野心が渦を巻く戦国時代の洗礼を受けるようにして人々から恨まれ、激しい憎悪をぶつけられます。
そして、それはそこから救出されても消える事はありませんでした。文字通り、「邯鄲の宝石」と呼ばれた女性は壊れ、再生する方法も見付からないまま、ただただこの世を憎むだけの狂った存在になったのです。
そんな太后が、今になって愛情を注いでくれる相手と、自分が愛情を注げる相手を見付けました。嫪毒(ろうあい)という、ただただ優しい男と、その男との間に出来た二人の子供です。
毒国(あいこく)のクーデターは、元はこの子供たちを守るためだけの小細工でした。治外法権の場所を得て、ただただ、そこで愛する者たちと静かに暮らしたい。
その願いが政治に利用され、今回のクーデターは起きました。言ってしまうと、最後の最後まで太后は裏切られ、利用され続けたのです。
嬴政こそ、最も痛みを知る王族
国内統一という一つの区切りを果たし、いよいよ中華統一へ打って出るというのが、第4期で描かれる最後のお話なんですけど、明らかになったのは、それを行い戦国時代に終止符を打とうという国王・嬴政もまた、戦国時代の被害者なのだという事です。
ひょっとすると、こんなにも痛みを知る王族というのも珍しいのかもしれません。あまりに痛いので、体が感覚を失くしてそれを感じなくさせた過去を持つほどです。
そして、だからこそ、嬴政は戦国時代を終わらせる事を考えていたのです。あらゆる人間から狂っていると言われ、正気の沙汰じゃないと咎められながらも、自分の道を決して譲ろうとはしません。
そこまで自分を信じる事ができるのかな?迷わないのかな?と、いつも私は考えてしまいます。
でも、ずっと考え続けてきて、幼い頃から試行錯誤してきたからこそ、今更迷ったりしないのかもしれませんね。
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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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