2022年春アニメキングダム

「KINGDOM~キングダム~」第4期第3話「討伐軍出陣」考察。狙われた王弟・成蟜

2022年春アニメ

一年以上前から準備されていた計画

 第4期のアニメも今回で第3話を迎えました。敵味方の動きも慌ただしくなって行くのです。その中にあって判明するのが、今回の王弟・成蟜(せいきょう)を罠に嵌める計画。なんと、一年以上前からコツコツと準備してきたという事実。

 物語は第3期の合従軍との戦いから二年の月日が経っているという事なので、秦(しん)国が国家滅亡の危機を脱した時期からあまり時を空けず、成蟜は権力者であった呂不韋(りょふい)から狙われていたという事になります。

 その理由として幾つかの事が考えられるのですが、その中の一つに前回の合従軍戦において、国王・嬴政が蕞(さい)に打って出て王都・咸陽(かんよう)を留守にした時、呂不韋は緊急時と王の不在を良い事に、念願の玉座に座って思考しようとします。それを阻止したのが嬴政から自身が不在になった時の咸陽を任されていた成蟜でした。

 そればかりか、王族の気迫なのか覇気なのか“あの”呂不韋を後退りさせて自身が玉座に座ります。呂不韋が気圧されるのは非常に珍しいシーンです。

 ひょっとするとこの屈辱があったから、早くに成蟜は危険人物で感情的にも排除したい相手だと目を付けられていた可能性があります。呂不韋ほどの傑物なら感情に支配されて短絡的な思考をしないと思う反面、だからこそ屈辱と感情が結び付き、素早い行動に移ったのかもしれません。

嬴政にないものを持っている成蟜

 では、合従軍との対戦時における玉座の一件以外で成蟜を排除した理由は何でしょう?それはやはり、政治的な強さ。この当時の呂不韋陣営と大王陣営における政争を描いた場面で考えるなら、成蟜は抜群に票集めに長けた政治家なのです。

 それはやはり、純粋な王族の血を受け継いだ、数少ない存在だからでしょう。王位継承権や他の王族が見当たらない事を考えると、純粋な王族の血の後継者は成蟜が唯一無二の存在なのかもしれません。

 日本などでも、天皇家は神の末裔という物語で言い伝えられてきました。国の王を代々受け継ぐ王族の血というものは、いつの時代、どこの国でも重いものなのでしょう。成蟜が兄・嬴政(えいせい)を軽んじて六年前に反乱を起こしたのも、母が民間人という嬴政を王の資質と認めなかったから。

 これは、裏を返すと、成蟜の周囲にいた大人たちがそういう価値観を持っていたから。そしてその威光が強ければ強い程、庶民から王への成り上がりという野望を燃やす呂不韋にとって邪魔な存在となります。それは場合によっては英雄王と呼ばれるまでになった嬴政以上の脅威として呂不韋の目には映った事でしょう。

珍しくヒロインらしい屯留の姫・瑠衣

 前回から登場した成蟜の妻・瑠衣(るい)が第4期序盤のエピソードにおけるヒロインなのですが、彼女は珍しくお姫様らしいお姫様です。キングダムは戦国時代を描いたお話なので、非常に男臭い面のある物語です。舞台も戦場が多く、登場するのも武将が多い。だからこそ、その存在感が際立つのです。

 気が強く成蟜や嬴政に臆する事のない反面、可愛らしく出身地である屯留(とんりゅう)の民に愛され、そのお陰で成蟜の人気までがこの地では絶大です。そこまでの人気があるからこそ、呂不韋が企てた王弟・成蟜の反乱計画に信憑性が出てしまうのです。何とも皮肉なお話なのですが、その人気の源こそが、彼女の一本筋の通った部分なのでしょう。

 成蟜は六年前の反乱の時に唯一反対した側近として教育係の老人・寿白(じゅはく)瑠衣の名を挙げています。そして、反乱に失敗して当時の側近が次々離れて行く中、自分から離れなかった存在としても。

 だからこそ成蟜は他の誰よりもこの二人を大切にし、かけがえのない存在だと思っています。そしてこの人柄が地元の民にも伝わるから、瑠衣は屯留の姫としてみんなから慕われているのです。民はバカじゃないって事がよく分かりますよね。

 瑠衣が魅力的だからこそ、囚われの身になれば誰もが助けたいと思う。お姫様を助ける騎士になるからこそ、成蟜もまた魅力的に映る。そのチームがそのまま罠に嵌められてしまうからこそ、助けに行く討伐軍が重要になる。戦略として、非常に良く出来ていると、私なんかは思わず感心してしまいます。

伯弱の王。その意味が突き刺さる

 今回ポイントになるのは、王弟・成蟜が反乱を起こしたとされる時、その討伐軍の指揮を誰がするのか?という人選でした。これが呂不韋の陣営ならば何の迷いもなく筆頭将軍にして呂氏四柱の猛武(もうぶ)を向かわせるところ。

 その他の武将を指名するにしても、軍総司令・昌平君(しょうへいくん)の指示に従って運営するのです。但し、この時期に昌平君と呂不韋との関係は非常に微妙。呂氏四柱の一角ではあるものの、二年前の合従軍戦で昌平君は呂不韋の野心や保身よりも国を救う可能性に懸け、呂不韋の宿敵である国王・嬴政に協力しています。

 これは、国王がお抱えの武将を保持していない事を意味しています。権力も実権も呂不韋が持ち、王様はあくまで飾りだった事がよく分かる現実です。

 もしも王弟・成蟜にお抱えの軍や武将があったなら、あんなに容易く裏切られる事もなかったでしょう。それを思うと、強力な力である武将を抱えていないという事実が王族の力のなさと呂不韋の権力の大きさを物語っている。大切な加冠の儀まで残り一年という時期を迎えても、これだけ呂不韋の力が凄まじいというのが、とてもよく分かる逸話です。考えれば考えるほど、嬴政が自身の事を若く弱い伯弱(はくじゃく)の王と呼んだ理由が突き刺さりますね。

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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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