2022年春アニメSPY✖FAMILY

妻、弟、娘、父であり夫。SPY×FAMILYロイド・フォージャーのよくある一日を考察(ミッション9)

2022年春アニメ

他人を羨む珍しい黄昏

 今回の「SPY×FAMILY」で印象深かったのは、父であるロイド・フォージャーこと、コードネーム黄昏が珍しく

「羨ましいな」

と、他人を羨むような発言をしている事です。今まで影なき英雄として黒子に徹して西国(ウェスタリス)の一流スパイとして活躍してきた黄昏は、嘘をつくの平気だし、人を疑うのも当然の事。過酷な任務に対して感謝も賞賛もない状況でも悲しむ事すらなく、ただ黙々と任務を遂行してきたように思います。

 そんな黄昏が仮初めの妻ヨルさんと、その弟であるユーリ君の仲を見て、さっきのセリフを口にしたのです。孤独である事の身軽さと動きやすさを知っていて、他人に背中を預けなければならない今回の任務にストレスを感じていた黄昏の変化に、少しびっくりしました。ある意味で、こういう小さな変化はこの物語の見どころと言ってもいいかもしれません。

夫ロイドと妻ヨルさんの不思議で特別な関係性

 表面上、仲良くしていますが、西国のスパイであるロイド・フォージャーこと黄昏と、東国(オスタニア)の秘密警察である妻の弟ユーリ君は敵対関係にあります。もちろん、二人とも秘密の職業だから堂々と話すわけではないので、互いに探り合っている状況なのですけど、この事があるので、黄昏は妻であるヨルさんを疑って調査しなければならなくなります。

 密かに盗聴器を仕掛け、会話を盗み聞きし、ヨルさんを試す罠を仕掛けます。全ては、ヨルさんが弟のユーリ君の職業を知っているかどうかを知る為に。

 もしも知っていたのなら、自分を疑って調査する為の相手のスパイ。そうでないのなら、ただ偶然知り合った。この関係をはっきりさせるのはスパイである黄昏としては当然の事なのですけど、心の中が読める娘のアーニャは父と母が不仲であると、一瞬の出来事で分かってしまいます。そして、当然の事をする一流スパイは、不思議と仮初めの妻に対して今までになかった甘い感情を抱いてしまいます。こういう不思議な関係性って、独特で特別な感情を呼びますよね

絶妙な相性で奏でるアーニャと父と母

 前回に引き続き今回も物語一の人気者である娘のアーニャの出番が少ない回になりました。アーニャは子供で、それ以外の人間関係も物語にとってとても大事なので仕方ない部分なのですけど、その短い登場シーンの中でも、アーニャは抜群の存在感を発揮します。

 今回分かったのは、アーニャは言葉になっていない心の中でも、その思いを汲み取る事が出来るのだという事です。多分、アーニャ自身が聞きたい、知りたいと思った人の心に関してはそういう事ができるのだと思うのですけど、その辺の設定はまだぼやっとしています。

 ただ、はっきりさせていないからこそ、子供特有の勘の良さに、その言動が似てくるのだと思います。子供は、私たちが思っている以上に親の事を観察しています。だからこそアーニャは父と母の不安を、仲が悪くなったのと勘違いしてしまうのですが、同時に仲が良くなった事も一瞬で分かる察知力がありました。

 今回は本当、家族の何気ない一日を描いたお話になったのですけど、これが何となく、この物語の醍醐味のような気がします。ありふれた日常の一日、それがこんなにも楽しめるから、この家族の話をまた観たいのだと、思いました。

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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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