政争の核心。最高権力者・呂不韋でさえ持っていない王位継承権
第2話「不穏な影」は近寄る者と近寄られる者の両方を描いたお話となっています。
その中でも圧倒的な存在感を発揮したのは秦(しん)の権力者・呂不韋(りょふい)です。
この時はもう既に「相国(しょうごく)」と呼ばれています。
他の国では政治を執り行う文官の最高峰は「宰相(さいしょう)」。
秦においては右、左、二つの「丞相(じょうしょう)」が該当しますが、
相国はその更に上、数百年に一度その地位を設けるかどうかという特別な文官ですね。
まさに、事実上の最高権力者に相応しい地位とも言えます。
これより上の地位となると、もう、国王しかいません。
この王位継承権があるという意味で、王弟・成蟜(せいきょう)も
地位的には相国となった呂不韋より上かもしれませんが、
それでも形の上だけの話で、事実上の最高決定権は呂不韋にあると言えます。
辛うじて、反対できるというのが国王側の立ち位置なのですが、
一方の呂不韋の方にも欠点があります。
それはズバリ、最高権力者の呂不韋をもってしても、王にはなれないという事なのです。
それ程、王族の血筋、王位継承権というものは重いのです。
そしてこの事が、長い間キングダム世界の裏テーマであった
国内統一における政争の核心なのです。
圧倒的で特別な呂不韋の存在感
呂不韋に関しては、物語に本格的に初登場したシーンがとても印象的です。
主人公の信と同様、私たち視聴者もその時に初めて呂不韋に対面するのですが、
呂不韋を支える呂氏四柱の錚々たる事。
後に文官の最高峰である右丞相となり、同時に秦国の軍総司令として
全軍に号令をかける天才軍略家である昌平君(しょうへいくん)。
外交の要である蔡沢(さいたく)老師。
事実上、実務を取り仕切っている“法の番人”李斯(りし)。
そしてこの時点では筆頭将軍と呼んで良い存在となった“剛将”猛武で形成される四本の柱。
呂不韋という人物は、この四人が彼を飾るアクセサリー程度でしかないという、
圧倒的な存在感を放って登場します。
物語のもう一人の主人公であり、後に秦の始皇帝と呼ばれ史に名を刻む
嬴政(えいせい)にとって政争で戦う最初にして最大の相手。
まさにボスキャラに相応しい、とんでもない迫力を放つのですが、同時に
こんな人物は数多くのキャラクターが登場するキングダム世界においても、唯一無二。
それは、第4期を迎えいよいよ嬴政との最終決戦が迫った今回も、変わりません。
それ程、呂不韋の存在感は圧倒的で特別なのです。
文官とも武将とも違う、商人出身だからこそ見られる呂不韋の異質
では何故、呂不韋の存在感は特別なのでしょう?
これは彼が商人出身である事と深く関係していると思います。
商人は物を仕入れて売る事を生業としているので、交渉が決戦の場となります。
武将のように相手を圧倒し恐れさせるだけでは、相手が気を許さず、
商談がまとまらない可能性もあります。
だから一流の商人には付け入る隙のような部分、
相手が自分を舐めるような部分を、わざと見せる必要があるのでしょう。
巨大な野心と権力欲の仮面を裏に隠しつつ、
相手に自分を攻めさせて誘い込む要素が呂不韋には見受けられます。
それがどんな状況でも笑みを浮かべる余裕として現れ、
結果として文官、武将という権力の中枢に居る人物たちの
誰とも異なる独特の雰囲気を醸し出すのだと思います。
そして、異質だからこそ脅威。相手に本心を悟られず、
あれだけ剥き出しで裏の顔、権力欲や野心を漏れ出しながら、
それでも相手に気を許させ、時には意のままに操る怪物が誕生したのでしょう。
不穏な影となった呂不韋と狙われた存在である王弟・成蟜
今回の第2話では、懸命に政争の権力図をひっくり返そうと抵抗する
嬴政たち大王陣営の努力を、ほんの少し私財を投入して
また突き放してしまう呂不韋の一面が描かれています。
そんな呂不韋は不可能だと思われるもの、
手が届かないものほど欲しがる性質があります。
だからこそ彼は異質なのでしょう。
そしてその呂不韋が欲しがる王位継承権を手にする為に
何かを仕掛ける予感を、今回は語っています。
一年後に行われる、嬴政の「加冠の儀」。現在で言う成人式ですね。
そこで国王が大人として認められ、後ろ盾が要らない存在となった時、
呂不韋に集まっていた権力が国王の元へ流れて行きます。
来るべきそのその最終リミットまでに王にならなければ呂不韋の負け。
その勝負に勝つ為にまずは今回、嬴政の大王陣営において今現在、
最も邪魔な存在と化した王弟・成蟜に対して仕掛けます。
つまり「不穏な影」となって狙う側が呂不韋であり、
狙われたのが成蟜という、今回のお話。
これに主人公の信や兄であり王である嬴政がどう絡むのか、来週以降が楽しみですね。
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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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