王賁が天下の大将軍になる為に用意された相手
今回の「キングダム」は主人公である飛信隊の隊長・信の同期で最大のライバルとも言える王賁(おうほん)の回となりました。今回の魏(ぎ)との戦いは珍しく史実にない戦いを描いています。そしてその為に秦(しん)の六将、趙(ちょう)の三大天に匹敵する程の武将でありながら、理由あってそこまで有名にならなかった幻の名将として魏の火龍七師が登場します。
七人のうち、既に4人が他界していて、残っていた3人が急遽登場した事により、今回の著雍(ちょよう)の戦いは急展開を見せているのですが、そのうちの一人である槍の紫伯(しはく)は明らかに槍の達人である王賁の為に用意された相手に見えます。
天下の大将軍を目指す信や王賁は、かつての伝説である六将や三大天と比べられる存在ですが、伝説は既に存在しません。そして、多少なりとも信はその伝説と絡みがあり、その強さが彼らに近付いているのが確認されていますが、ライバルである王賁は今までそういう戦いに出会う機会がなかったので、実力の比較ができていません。
槍の紫伯はその為に用意された相手。言ってしまうと、そういう相手に思えます。そして、その実力が想像以上で、王賁を追い詰めて行くのです。
灰色の世界に住む紫伯
天下の大将軍のお手本として信が師のように思っている王騎(おうき)将軍。その王騎将軍のライバルだった趙の初代三大天、最後の生き残り廉頗(れんぱ)という伝説の武将は、明らかに将軍である事にプライドを持って戦場に君臨しました。それは、彼らが登場するだけで戦況が一変してしまう程です。
対して、魏火龍七師の一人である槍の紫伯はプライドも欲望も野心も、何もかもが無いという珍しい存在です。こう考えると、空っぽという意味で登場した頃の羗傀(きょうかい)に少し似ているのかもしれません。
戦場の武将は地位が上がると共に歩兵から馬に跨り騎兵になる事が一般的です。その関係で武将が扱う武器は長物と呼ばれる矛か槍になる事が多いのですが、意外と槍の使い手は少なく感じます。
その理由はきっと、突く事に特化した武器で、扱い辛いのが原因だと思います。その分、王賁の槍はとても速く、繊細で正確なのですけど、紫伯にはその王賁にはない力強さがあります。言い方を変えれば、最も王賁にはない部分です。
だからこそ、王賁にとって最大の敵となる訳ですけど、対して王賁はこの強敵とどう戦うのでしょう?
捨て身でギリギリを攻める王賁
今までもそう思っていたのですけど、王賁は意識高い系の典型のような武将です。理想と出世欲が強く、常に手柄を上げようとする完璧主義者。ただ、今まではその影に隠れて目立たなかったように映る捨て身の部分が、かなり見える戦いになりました。
多分、最初の頃の王賁はそこまでギリギリを行くような武将ではなかったように思います。しっかり逃げ道を確保して、計算の上で行けるところまで行くような感じの。それが変化したのには、信や蒙恬(もうてん)と共同作戦を行った山陽の戦いが関わっているのではないでしょうか?
あの時、他の将軍や武将に任せていてはこの戦場が危険になると判断した3人の隊長は、それぞれの独立遊撃隊を勝手に動かして廉頗四天王の一人である輪虎(りんこ)を討ち取ろうとした事があります。
その時、前日の怪我で途中から動けなかった王賁の目の前で、信が一瞬ごとに自分の限界を超えて相手に対抗する場面を目の当たりにしています。そして、信はこの時の事を、
「こういう瞬間を積み重ねて、天下の大将軍までみんな上り詰めたんだろう」
と、語っています。ひょっとするとその瞬間を見ている事しか出来なかった王賁は、この事を信よりも痛感していたのではないでしょうか?だから、今まで以上にギリギリを攻めて、時に捨て身の戦法を取るようになった。そう考えると、王賁の無表情の裏で、熱く煮え滾るような想いを感じずにはいられません。
さて、このギリギリが、どう出るのでしょう?槍の紫伯は、それほど甘い相手ではありません。次回、本当にどうなるのでしょうね。
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いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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