呂不韋の世界に欲望はついて回る
今回のお話では、咸陽（かんよう）にまで押し寄せて来た反乱軍が、遂に一番奥にあった後宮にまで到達してきました。大王である嬴政（えいせい）の子供を育てている宮女の向（こう）ちゃんと陽ちゃん、それに嬴政と向の娘である麗（れい）ちゃんもピンチです。
特に麗ちゃんの命は、王族を根絶やしにしようとする反乱軍にとって一番の標的であり、それを絶対に阻止しようとする討伐軍にとっては一番に守らなければならないものです。
そんな中、向と麗の母子を狙う勢力が後宮には存在しました。反乱軍を裏で糸を引く呂不韋（りょふい）に従う人間たちです。
この呂不韋に付き従う内通者は、あまり家柄に恵まれていない向ちゃんが大王の子供を産んで立場が上になった事を良く思っていない人たちです。
呂不韋の描く豊かな富の国は、裏を返せば良くも悪くも人間らしい欲望の世界。そして、欲望により優劣をつけた争いに負けた者には、嫉妬という青い炎が燃え盛ります。
だからこそ呂不韋の計略に乗り、向ちゃんを狙った。
ある意味で、とてもしっくりくるシナリオです。
陽ちゃん、向ちゃん、根性宮女の名にかけて
今更説明するまでもありませんが、後宮には秦（しん）の国中から大王の子を授かり王族に加わろうと、国中の美女が集まってきます。この推薦には家柄も深く関わっているようで、どうしてもその背景により立場の優位が決まってきます。
ただ、それを逆転できる材料が、当の大王である嬴政に気に入られる事です。こればかりは家柄も背景も関係ありません。嬴政と宮女当人の問題です。まさに、向ちゃんがその例です。
だから妬まれ、裏切られ、狙われてしまいました。でも向ちゃんには、そんな負の感情を度外視するような強力な友人がいます。そうです陽ちゃんです。
向ちゃんを友人として大切に見ているだけでなく、死んでしまった妹の面影も見ていた陽ちゃんは、命を賭して向ちゃんと麗ちゃんの母子を助けようとします。
欲にかられて相手を追い落とそうとする人たちに囲まれて、その結果として今回のような状況に追い込まれるからこそ、陽ちゃんの行為の尊さが染みるのです。
信に舞い降りる主人公らしさ
陽ちゃんが向ちゃんを命がけで助けるのは今回が二回目です。一度ならず二度までもとは良く言われる言葉ですが、一度あんな辛い思いをしておいてまた？と、誰もが思うからこそ、二度もそういう行為をする事は尊いのだと思います。
今度は騎馬で押し寄せる武将の集団に向かって、向ちゃんと麗ちゃんの母子を助ける為に突撃します。本当、命がけの抵抗です。
ここに格好良く登場したのが、主人公の信でした。本当、今回は出て来るタイミングといい、颯爽とした振る舞いといい、いつものバカで単細胞な部分が影を潜め、本当に格好良かったです。それは、助けて貰った陽ちゃんの頬が赤く染まってしまうくらいに。
その後の向ちゃんとの抱擁も良かったですよね。
男でも女でも、命以上に懸けて失うものなんてないです。
それを当然のようにやってくれた友人に対して、その無事を喜ぶ歓喜と安堵の抱擁。
陽ちゃん、向ちゃん、それに麗ちゃんには、是非とも幸せになって欲しいですよね。
信と陽ちゃんのロマンスなんて、少し見てみたい気がします。
そして、次回は全ての命運を懸けて、天才軍師である昌平君（しょうへいくん）の武勇が初めて観れる場面となります。楽しみですね。
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いかがでしたか？
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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