羌傀の飛信隊復帰
いよいよ「キングダム」の第4期アニメがスタートしました。
第1話の今回は、大戦とも呼べる大きな戦のあった後、
新たな物語が始動するまでの序章のような話になっています。
その中でも特に大きな出来事はやっぱり、
飛信隊副長・羌傀（きょうかい）の本格復帰でしょう。
新たに生きる意味、自分を生きさせた繋がりの糸と縁を自覚した
羌傀は作中随一の人気キャラというだけでなく、この物語のヒロインです。
前回の3期アニメでは彼女が飛信隊を離れている時のお話だったので、
極端に羌傀の出番が少なく、ちょっと物足りない部分もありました。
今回は冒頭でも最前線で戦いながら同時に味方に的確な指示を出す、
戦いの天才としての片鱗を随所に見せながら、
新たな目標「私も大将軍を目指す」と宣言する部分がとても印象的です。
血は繋がっていませんが姉同然の存在である羌象（きょうしょう）の分まで
生きると決めた羌傀には、このキングダム世界の武将がみんな持っている、
背負う者としての強さが見受けられます。
今までのサポート役に徹する副長から、新たに自分を出すようになる羌傀。
第1話ではその活躍振りに隊長である信の存在感が負けてしまい、
何気に信が慌てている様子も描かれていますが、同時に信をサポートするのではなく、
肩を並べて横を歩ける存在になりたいという風にも感じられます。
羌傀の活躍、本当楽しみですよね。
蒙豪の死去
そしてこの第1話で描かれた話の中で特に印象的なのは、
秦（しん）の筆頭将軍を務めた“白老（はくろう）”こと
蒙豪（もうごう）将軍の他界です。
その最期の瞬間には彼に恩のある信と、その孫である蒙恬（もうてん）が
馬を飛ばして馳せ参じました。
蒙豪将軍は武将としては凡庸だけれど、
人を見る才能があった事から晩年にコツコツと戦績をあげて活躍したのですが、
そのせいか彼の死に多くの武将が反応する場面が描かれ、その影響力の大きさを物語っています。
蒙豪将軍の副官としてその力を認めさせ、実績を積んだ二人の異能、
野党出身の桓騎（かんき）と名門士族の宗家にして
天才的な武将でありながら冷遇されてきた王翦（おうせん）、
そして息子であり共に旅を続けてきた蒙武。
特に蒙武の不器用な別れの盃は、何故だか胸にくるものがあります。
無口であまり多くを語らないからこそ、伝わる心情があるのですね。
そして偉大な蒙豪の死の瞬間に立ち会ったのが、
これからの時代を作っていく若武者、信であり蒙恬であった事が
時代のうねりを否が応でも感じさせる瞬間でした。
李牧の左遷
今回放送した第1話のタイトルは「その後の七国」。
つまりキングダム世界における中華を形成している戦国七雄の状況を伝える回なのですが、
主人公たちが居る秦を除く他の六国は、何となく近況が語られるだけで、
特に大きく扱われる事はありません。
そんな中で唯一登場するのが、趙（ちょう）の李牧の近況です。
李牧は合従軍の発起人で実質の指揮を執っていた人物ですから、
登場するのは当然なのですが、ちょっと変わった見方をすれば、
李牧の近況さえ伝えれば他の六国は全て表現できるというような受け取り方もできます。
それだけ、趙の李牧という存在はキングダム世界においても、
秦の国から見ても大きなものなのです。
そして、中華統一という覇道において最も大きな障壁となるのも当然、この李牧なのです。
左遷させられ、野良仕事をする姿を傳抵(ふてい)に「惨めっス」と言われながら、
笑って返すところなどに、本来の李牧の人間性が垣間見えます。
とても優しい人物なのです。
それでも人に望まれ、彼なりのより良い世界の為に自分の才能を活かす姿に、
どこか悲劇の主人公的な匂いを感じてしまうのは、私だけですか？
復活の予感、秦の六将
羌傀との会話、蒙豪将軍の最期の金言。そして今回のタイトル。
これらは全て、伝説の存在である秦の六将の復活を予感させるものになっています。
主人公・信の個人的なの目標の事を言うなら、
王騎将軍と同じ「天下の大将軍」となった時に、
自然と同じ六将になっているようなイメージなので、
六将のワードはもっと先の話のように感じてしまうのですが、
戦国七雄、他の六国を亡ぼす為には六人の大将軍が必要だという羌傀の言葉と、
蒙豪を迎えに来る王騎を筆頭にしたかつての六将。
そして最期の言葉を受け取るのは未来の六将を予感させる信と蒙恬。
これらはやはり、遠くない未来、秦の六将が復活する事を予言しているように映ります。
ただ秦の六将は王騎将軍しか戦っている姿は描かれていませんし、
それと同等と言われた趙の初代三大天も廉頗（れんぱ）将軍との戦闘だけが描かれています。
二人とも偉大過ぎて、まだ信や蒙恬をもってしても、遥か高みに存在している武将です。
キングダムは成長を描く物語でもあります。
今は遥かに遠い存在に急速に近付く事をこの回で予言しているのだとしたら、
信、蒙恬、そして王賁（おうほん）という若武者の一挙手一投足に注目しない訳にはいきません。
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いかがでしたか？
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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