『薬』だけではなく、患者の『心』に効く言葉も大切
エリザベート陛下は、前回の話よりも回復傾向に向かっていて、嬉しそうに笑っている姿は豪快です。
そして、そんな陛下に対して「今日まで…は」と神妙に話し出すファルマ。
「今日までは良くても、明日以降どうなるかが分からないのが、人と薬」
「どんな薬ににも、絶対は無い」ということ。
大人の前で、堂々とした態度で話していたファルマも、病気の前では『何が起こるか分からない』と慎重な姿に、回復傾向であっても油断してはいけないのだと、感心しました。
加えて、ファルマは『薬』だけではなく、患者一人一人に対しても、大切にしなくてはいけないことを教えてくれていました。
『白死病』にかかり、体だけでなく、心も弱くなっていたエリザベート陛下に対して、曖昧な言葉ではなく、必ず治る！！と明確にし、気持ちに火を灯したファルマ。
さらに、体は回復し、気持ちが塞ぎこんでしまっている陛下に対しても、ファルマは答えます。
病に侵されていた時でも「陛下を必要にしていたのは、どなたですか？」と。
エリザベート陛下を必要としていた人物＝息子（ルイ）を、思い出させ『誰からも必要とされていないことは無い』と、優しく声をかけます。
女王陛下も、ファルマの言葉は『心に効く薬だ』と名言。
『薬』だけでなく、患者にかける言葉もまた、大切なのだと思いました。
エリザベート陛下から、ファルマへの褒美
父ブリュノ共に、盛大な式典に呼ばれることとなったファルマ。
正装でお城の中を歩き回り、参加していい身分なのかとビクビクする姿は、少年そのもので可愛らしいです。
王冠をかぶり、白いドレスを着て、赤いマントを翻したエリザベート陛下の美しい姿。
『白死病』から命を救った功績から、筆頭宮廷薬師であるブリュノと見習い薬師であるファルマに、褒美が与えられることに。
ファルマは、見習い薬師から、正式な宮廷薬師へと昇格することになります。
加えて、帝都での『薬局』の開業を許可してもらうことに。
自分の『薬局』を持ちたい。
以前、お城に陛下の診察の際に訪れた時に、エリザベート陛下に仕えていた小姓『ノア』と話した、ファルマの夢の話。
それが、今回の功績により、目に見える形となって叶うことになりました。
小さきながらも、宮廷薬師として、少しずつ一歩を進みだしたファルマ。
心から喜ぶファルマの笑顔は、とても素敵で微笑ましく思えました。
ファルマの店【異世界薬局】
エリザベート陛下の勅命により、帝都でも腕利きの大工・石工・職人たちが、ファルマの元に集まりました。
早く早くと、職人たちに急かされ、少し焦るファルマ。
家庭教師のエレンに、自分の理想とする『薬局』のイメージを聞かれますが、ファルマは他の薬局をゆっくり見たり、建物の使い勝手も検討してから、進めようとしていたので、中々返事が反せず、渋ります。
しかし、大工さんたちも、女王陛下の勅命によって呼ばれている身。
命令違反と判断されてしまえば、職人さん達、全員のクビとなってしまいます。
そのため、使い勝手が悪かった場合は『全てを立て直す』くらいの気持ちで、ファルマが理想とする『薬局』作りが開始されます。
ファルマが書いた図面は、緻密で、職人さんたちからも「仕事がはかどる」と評判のものでした。
作業はとんとん拍子に進みます。
見ていても、クスッと笑ってしまうくらい楽しいです。
『薬局』の名前も、ファルマが小声でこぼした言葉【異世界薬局】をそのまま使うという、斬新なもの。
開業作業を進める上で、困ったこと
ファルマは、あまり悪目立ちはしたくなかったのですが、エレンからは「店名よりも、貴族の尊爵家の御曹司が出す店の方が、前代未聞」ということ。
しかも、薬師ギルドからの全面対決の話をした直後でした。
ファルマとエレンの前にやってきた一人の初老男性。
薬師ギルド長のベロンと名乗った男性は、さっそく、ファルマに対して好戦的な態度を取ります。
ファルマの事を『坊や』と言い放ち、お店で扱う商品についても、小バカにしてきます。
最終的には、薬の価格について文句を付けてくるのですが、エレンが間に入って睨みをきかせると、そそくさと逃げていきました。
一方、お店の外観や内観が出来てきた『薬局』では、新たに困ったことが判明します。
『薬』を売る為に必要となってくるスタッフがいないということ。
お店の財務会計や公文書作成など、信頼できる人に頼みたいところなのですが、ファルマの中では頼れそうな人が思い浮かばなかったようです。
しかし、父ブリュノから、思いもよらない考えに驚き、喜びます。
足が不自由で、メディシス家を退職する運びとなっていた使用人セドリックを【異世界薬局】で働かせるということ。
最初はファルマが、ブリュノに頼み了承を得ていたのですが、実は、父ブリュノが息子ファルマの為に、考えた人事異動でした。
誠実で、忠義ものなセドリック。
【異世界薬局】でも、安心して仕事を任せられると判断した結果でした。
息子のために考え、祝福し、照れている父ブリュノもまた、素敵な父親だと思いました。
ファルマが考え、作り上げた【異世界薬局】は、今後どのような展開となって、話が進むのか楽しみです。
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いかがでしたか？
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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