全ての始まり
今回のお話は「キングダム」という物語にとって、根幹と言うような部分に関わっている内容でした。
つまり、史上初めて中華を統一した秦の始皇帝を、悪役じゃない角度から描くという事です。
伝え聞く話だけですけど、中国本土でも日本と同じように、秦の始皇帝は成し遂げた偉業は認めるけれど、その為にやった数々のものが残虐非道で、悪役としての印象が強い人物です。
その中華統一を正義の為だとして、必要だから統一したという物語として描いているのが「キングダム」であり、若き日の始皇帝、つまり嬴政(えいせい)です。
この逆転現象は簡単なようでいて、凄く難しい事です。戦国の世に生まれた王として、武力で統一すると、今話でも嬴政は高らかに宣言しました。
それを肯定する言葉や思想は、平和の今を生きる私たちにまで響かせるには、相当な力が必要になります。
呂不韋の語る政策
嬴政の中華統一を否定するようにして、呂不韋(りょふい)の方は自身が国の王になった時に行う政策のようなものを雄弁に語りました。
秦を最も富める国にする。経済力を武器に他の国が羨ましがるほどの繁栄を見せ付け、同じように繁栄しようとする国とは貿易を行い富を分け与える。
豊かになった秦を中心にして中華に経済圏を築くというような内容です。これは商人出身で天下は「お金」だと言い切る呂不韋らしい政策です。
それはとても理想的であり、同時に地に足が付いて現実的でもあります。
呂不韋が文官として、つまり今の言葉で言う政治家や官僚としてとても優秀な人物だと分かる結論でした。非の打ち所がありません。
これほどの政策に異を唱え、非道と言われる中華統一に説得力を持たせる。嬴政のやろうとしているのは、とてつもない事。だから偉業と言われ、覇道と言われるのです。
爆笑問題の太田光さんが言った「政治家は理想を語れよ」という言葉
今回の嬴政と呂不韋の討論のような会話シーンを観ていて、私はYouTube動画で観た爆笑問題の太田光さんが政治家に対して話していた内容を思い出しました。
「政治家は、理想を語れよ」
と、いつもと違いお笑い芸人の太田さんは真剣にそう言いました。意味は分かります。理想とする状態を目指して、現実がそこに近付くようにしていくのが正しい道だという意味なのでしょう。
理想を目指さないで、現実のせいにばかりするなという意味かもしれません。
今回、理想と現実を絶妙のバランスで語り自身の国造りを言葉にした呂不韋に対する反論として、嬴政は人間の本質は善であると、堂々と理想を語りました。
一時の平和は訪れても常に戦争に突入する危険のある呂不韋の国造りではなく、根本から戦争を失くす統一を自身が目指す理由です。
その場面を美しく見せる紫の光。恩人である紫夏(しか)の魂。痛みを乗り越え、嬴政は今、本当の意味で玉座に最も近く、逆に最も奪われる可能性も高い場所にいます。
きっとどこかでこの言葉と場面を描かなければならないと、作者である原先生は考えていたでしょう。いろいろ、考えさせられる場面です。そして、もうすぐ二人の争いに決着がつきます。
「キングダム」を観るならU-NEXTで!
いかがでしたか?
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
「キングダム」は、今なら「U-NEXT」で視聴できます。
無料トライアルで見れちゃいますので、ぜひお試しくださいね♪
コメント