「四畳半神話大系」の最終話が遂に公開されました！
四畳半から遂に脱出した「私」。そこで得た気づきとは？「私」は何を学んだのか？今回は、第十一話のあらすじ、「私」が気付いたこと、そして「四畳半神話大系」全体を通したテーマについてお話していきたいと思います。
最終話のあらすじ
以前のお話から、約２か月もの間「無限四畳半地獄」から抜け出せずにいた「私」。もはや自らの心の底から溢れ出てくる「外に出たい」と欲求は途方もないほど膨れ上がっていました。ただひたすら四畳半を抜けていくうちに「私」はスマホを手に入れました。そのスマホは「私」の悪友である「小津」のものでした。
彼は今までのお話で大学内で暗躍を続けました。福猫飯店で総長「相島」を引きずり下ろし代わりに総長に成り代わりました。二階に住む仙人「樋口師匠」と映画サークルのトップ「城ケ崎」の下で代理代理戦争を肩代わりし、二重スパイを続けました。各方面で恋路をひたすら邪魔し続け、途方もない数の敵を作りました。それもこれも全て彼の恋人「小日向さん」への愛ゆえだったのです！彼女に五山を全て見せてあげるため、このような傍目から見たら意味不明な悪戯を繰り広げていたのです。
そんな「小津」に「私」は敬意を持つようになり、別の世界線で親友だったことに誇りを持つようになります。そして、今まで「ぬらりひょんのような男」として見ていたフィルターが外れ、普通の顔に変化していきました。
しかし、そんな小津に魔の手が迫っていることを「私」は知ります。今まで敵に回してきた人物が彼に復讐しようとしているのです。そのことをスマホで伝えようとした「私」、しかしそこでスマホの充電が切れてしまいました。
そして、またしばらくの間、四畳半を歩き回る「私」。ふと天井を見上げるとそこには紐に括り付けた「もちぐま」がありました。それは、いつかの古本市でクールビューティー「明石さん」が持っていたものです。「私」がコインランドリーで自らのパンツと入れ替わっていたものでした。
老婆の話を思い出します。「好機はいつでも目の前に」。そう、ずっと好機は目の前にぶら下がっていたのです。今も自分になら、なんでもできる！そう一念発起して壁へと激突、遂に四畳半地獄から抜け出すことが出来たのです！
そして、各部屋にいたおびただしい蛾の大群と共に「私」はようやく元の世界へと戻ることが出来ました！そこは第一話で「小津」が橋から飛び降りようとしていた瞬間でした。ここでは会った事もありませんが、「私」にとっては孤独の中で心の拠り所となっていた無二の親友、すかさず助けに行きます。
そこからは最早怒涛のような展開でした！「小津」と「私」が共に川に飛び込み、「小津」の足が骨折、その過程で「私」の服が飛び散り、そして「私」は「明石さん」にもちぐまをようやく返すことが出来、第一話で頼まれた通り「猫ラーメン」に連れて行きました。
そして、めでたく「私」は明石さんと結ばれることになりました。
樋口師匠は羽貫さんと世界一周、城ケ崎先輩は就職することにしたそうです。そして、「小津」の弱点である「小日向さん」の存在が明るみに出たことで「私」と「小津」の形勢は逆転、「私」が「小津」の悪友のようなポジションに付きました。
「俺なりの愛だ」
そうして、第１１話、そして「四畳半神話大系」が完結しました。
無限四畳半地獄から見出した「私」の理想の人生とは？「私」が見つけ出した幸せとは？
結局、「私」が望んでいた「バラ色のキャンパスライフ」は手に入りませんでした。というか、そんなものはすでに手に入れていたのです。
しかし、「私」はその存在を直視せずにより良い世界を、もっと良いものをとただひたすら夢想し続けていたのです。「私」は遂に気づきました。不毛と思われた日常が何と豊穣な世界だったのかを。自らに必要だったのは、今の自分を受け入れ、それを楽しむ心の余裕だったのです。
「四畳半神話大系」全体を通したテーマ！すっごく単純で奥深いテーマが心に刺さる…。
「四畳半神話大系」全体を通したテーマとして、これはものすごく単純な話で「良い生活なんて届かない」ことだと思います。
結局、「私」が目指していた想像上の「バラ色のキャンパスライフ」には届きませんでした。しかし、最終回で「私」はとても満足気でした。何故でしょう。それは、彼は届かないところに手を伸ばすのを辞めて人生を楽しむことにしたからだと思います。
結局、理想の人生なんてものには手が届かないもので、皆ある程度半端なところで生きているのです。しかし、それこそが自分自身の可能性で、そこを面白おかしく生きていくしかないのです。だって、それ以外なんて無いですもんね。
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いかがでしたか？
お届けしたのは、天衣無縫の調のさくらでした。
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